春寒。

ある社会学者が寓話を"確かに世界はそうなっている"と定義されていて僕もそれに倣っているのですが、今日観劇した文学座の『犀』は、"確かに世界はそうなっている"と感じずにはおれませんでした。『犀』という戯曲は街の人々が次々と犀に変身していくというお話です。戯曲の解説とかを読むと、犀に変身していってしまうというのは、執筆当時の時代状況などを踏まえて、ナチスの台頭というメタファーだと書いてあったように思います。あとで確かめておきます。普通にお話を観るだけでは、犀に変身していく根本の理由−どうして犀なのか、どうして犀になってしまうのか−は分からないのです。逆にいえば、解釈は広がるわけで、ナチスに限定しなくても、他に解釈のしようがあるのであります。この戯曲は井上ひさしさんの言葉をお借りすれば、何度でも航海できる船です。すごいおもしろい。
"確かに世界はそうなっている"と他に深く感じた戯曲はブレヒトの『セツアンの善人』です。この戯曲は最も好きな戯曲☆。
配信でミュージックを初めて購入。あっという間、ちょっと拍子抜け。