〈不在〉という方法について

haradayu2004-12-30

バイトの同期のM君に紹介してもらった本とは、金井美恵子『愛の生活/森のメリジューヌ』(講談社文芸文庫)で、それを読んで〈不在〉という方法に酔った。だから、今進行中の戯曲にはこの〈不在〉を用いるつもりなのだ。〈不在〉といえば、もちろん誰もが注目している来月の遊園地再生事業団の公演『トーキョー/不在/ハムレット』を想起するのだけれど、今日その台本(『テアトロ』に掲載)を読んだのでありんす。リーディング公演、準備公演、実験公演は欠かさず観劇してきたので(映画は逃してしまいました)、物語の内容(ハムレットの物語を埼玉の北川辺町に置き換えたのがこの戯曲のベースになっているようです)は知っていたんですけど、宮沢さんのHPで戯曲を読んで観れば3倍楽しめると示唆されていたので、読んでみたわけです。〈不在〉という方法は、この戯曲ではタイトルになるくらいだからまさに全快で、誰が不在かというとハムレットなんですね、これが。この発想のセンスに驚嘆するわけですけれど。それで、戯曲の最後に引用ならびに参照が付記されてあって、そこになんと金井美恵子の名前が、詩集だったけど、もしかしたら宮沢さんもこの〈不在〉の発想は金井美恵子からインスパイアされたのかも。でも多分(潜在的に)ベケットゴドーを待ちながら』なんかからの影響もあるんだと思う。まさに〈不在〉という方法の根本ともいうべき『ゴドーを待ちながら』ですよ。少しだけ面白さが分かってきた気がする今日この頃。
今年も残すところあと二日。昨日はAPEメンバーで打ち上げがあって、久方振りにといっても2ヶ月振り位に再会。Mさんは左足指を骨折してたね、映画で鬼気迫った演技でやっちまったらしいです。とまあ、皆さん、舞台やら映画やらがあるそうで何よりで、色々話ができて楽しかったですね。