初日記。

『ALL ABOUT MY MOTHER』を観た。この監督の作品を観るのは2作品目で、ピナ・バウシュの舞台映像を使用していた『TALK TO HER』が最初。
臓器移植、性転換が珍しいことではなくなった現代社会を背景に物語は展開していく。最愛の息子エステバンが目の前で事故に遭い、脳死状態に陥り、自身が移植コーディネーターの職についているがために、息子の心臓提供を承諾するシングルマザー・マヌエラ。傷心のマヌエラは仕事を辞め、エステバンの父に会うためバルセロナへ……。

主役のマヌエラを演じた女優さんがとても素晴らしかった。ひとりの女性として自立した強さと息子を失った悲しさが同居していて、それゆえに「母」というものを強く感じた。「母」にとって"許容する"ということが条件というか「母」を形作る要素なんだろうな。
人間関係の偶然の因果をスムーズにみせ、1時間30分でまとめたのは見事。偶然的な出来事がドラマになることを再認識した。ただそればっかりじゃリアリティ(近頃流行っていますよね、「リアル」とか)を感じさせなくなっちゃうからね〜。

話はズレるけれど、日本人と西欧人の親族の捉え方の違いは、例えば、西欧人は自分の子供を「my sun」と呼ぶけれど、日本人は「うちの子供」てな感じで言いますやろ。アメリカ化されてきているのにもかかわらず僕ら日本人は「うちの子供」と呼んでしまう。おそらく前近代の名残だと考えられるのですが、果たしてそれだけなのでしょうか。これはもっと考えていけたらと思いますです。はい。

ところで、先日観た『誰も知らない』にはYOU演ずるどうしようもない母親が出てきていましたが、彼女は子供たちを「うちの子供」と呼んでいたか、それとも「私の子供」と呼んでいたか、はたまた「誰々(父親の名前)の子供」と呼んでいたのか、気になるところです。もしくはそんなシーンなどなかったのかも。

江藤淳の『成熟と喪失』を最近読んだためか「母」について考えることが多いのです。

ということで、初日記はこんな感じです。アディオス。